「HACCP(ハサップ)という言葉をご存じでしょうか?」

HACCPの概念が初めて提唱されたのは遡ること1971年のことになります。もう約50年前のことなんですね。
元々はNASAの月面探査「アポロ計画」において、宇宙飛行士たちが口にする宇宙食の安全を確保するために発案された方法です。なぜNASAがこのシステムを開発したかというと、宇宙空間では100%に近い形で食品の安全性を確保する必要があったからです。仮にも宇宙で食中毒が発生した場合、宇宙では病院なんてありませんし、治療する手段が非常に限られているために地上ではすぐに治る程度の食中毒が命にかかわる恐れもあります。そのような事態に対処するために「完璧な食品衛生管理をやろう」という目的が生まれ、そこに携わった方々の思いが推測されます。
そしてこのことが元になって地上でも同様の食品衛生管理をすることが推奨され、導入が広まっていきました。

HACCPの名称は Hazard(危害)Analysis(分析)Critical(重大な)Control(管理) Point(点)の頭文字をとったものです。さらにいえば危害分析(HA)の重要管理点(CCP)を合わせた略称です。危害要因をすべて洗い出すことを危害要因分析(HA)と言い、危害要因を除去するために特に重要な工程として重要管理点(CCP)の設定をしていくことがカギになります。
またHACCPは、予防的処置を行うことを目的とし、日本では2020年東京オリンピック食品輸出促進(TPP11、日欧EPA等)を見越して、国際規格と一貫性のある食品衛生管理が求められるようになってきたことが起因となって施行されております。

昨今の異物混入や食中毒事件を考慮すると、食品には安全・安心であることが強く求められており、中でも食品衛生管理が重要なポイントになっています。食品の安全とは科学的で客観的な根拠に基づいたものを示し、食品の安心とは消費者側の心理であり個人が感じる主観的なものを示しています。
さらにHACCPに沿った食品衛生管理の制度化については、HACCPに基づく食品衛生管理(大規模事業者等)と、HACCPの考え方を取り入れた食品衛生管理(小規模な営業者等)の2つに大きく分かれます。前者は企業の工場等が対象となり、後者は街中にある飲食店・喫茶店及び小売販売店等が対象となります。

具体例を挙げますと、飲食店・喫茶店等で化粧室に清掃記録を記載したバインダーが備え付けられているケースです。それは、HACCPの考え方を取り入れた食品衛生管理を行っていることのエビデンスになります。なぜ清掃記録があるかというと、化粧室が起因となり、食中毒が発生する場合があるからです。皆さんも飲食店・喫茶店等で化粧室をご利用の機会がありましたら、HACCPのことを思い出して確認してみてください。

このようにHACCPは私たちに身近なところでルールに沿って行われています。それは食品が毎日口にするものであり、常に安全・安心であることが重要となるからです。当社も培った経験と商品知識を元に皆様の食卓においしいと笑顔と安心・安全をお届けできるように、食品に携わる物流事業者として、微力ながらも社会に貢献していきたいと思っております。HACCPにとどまらず何かお尋ねになりたい事柄がございましたら遠慮なく当社へお問い合わせいただきたくよろしくお願いいたします。(M.T.)