「我々の食を守るプロの仕事」

皆様は日本の食料自給率が何%かご存知ですか?
農林水産省のホームページでは令和元年度の食料自給率はカロリーベースで38%、生産額ベースで66%となっており、多くの食品が輸入されてきていることが分かります。
日々私達の食卓に並ぶ輸入食品ですが、どのような手続きを経て皆様の食卓に届くのか、今回は日本の検疫制度を中心にお話をさせて頂きたいと思います。

食品を輸入するには「日本の植物に被害をもたらす病害虫の侵入・まん延を防ぐため、家畜の伝染病の国内への侵入を防ぐため、国内に流通する輸入食品の安全性を確保するため」といった様々な使命を帯びた各検疫所へ、商品の特性に応じた申請や届け出が必要となります。
申請や届け出の内容は、輸入者様が輸出国の製造者様から確認した内容を、申請や届け出に必要な形で書面化していくという所からスタートします。この書面化して頂いた内容に関して、我々通関業者が輸入者様に届け出に必要な内容の確認や質問をさせて頂きながら各検疫所に申請や届け出を行なっていきます。

そういった色々な目的の申請や届け出があるなかで、一つの例として検疫所に対して行う食品等輸入届出に関して説明をさせて頂きます。
この制度では、口に入る食品は当然のこと、お皿などの食器、赤ちゃんが舐めてしまう可能性のある幼児用玩具まで、皆様の健康を守る為の取り組みとして届け出が求められています。書類をもっての申請や届け出と聞くと、「どうせ書類チェックだけのお役所仕事でしょう?」という心無い声も聞こえてきそうですが、実際には、病害虫発見の為に地道に穀物を篩いにかけたり、書類と現物の表示に相違が無いか現場に足を運んで確認作業を行ったり、商品に使用されている原材料の内容を徹底的に追求したりと、「お役所仕事」と悪く言われるようなものとは程遠い、地道で徹底した確認作業が行われています。また、本当に様々な種類の輸入食品があるなか、限られた人数と期間で確認作業を的確に行っている各検疫所職員の姿は「正にプロの仕事、日本の検疫は凄い!」と検疫所職員では無い私をも誇らしい気持ちにさせてくれるものです。
このように様々な確認作業を経て、安全・安心な輸入食品が最終的には皆様の食卓に届けられているのです。
それでは食品の輸入に携わる全ての皆様の努力奮闘に感謝しつつ、今日も美味しく食事を頂こうと思います。 頂きます! (T.M.)