「和牛の輸出について」

日本政府観光局が2025年1月15日に発表した資料によると、2024年の年間訪日外客数は36,869,900人で、前年比47.1%増、2019年比15.6%増となり、過去最高だった2019年の31,882,049人を約500万人上回りました。これにより、年間過去最高記録を更新しました。

訪日された方々は、日本食の魅力を存分に堪能されたのではないでしょうか。本コラムでは、日本食の中でも「和牛」の輸出についてお話しします。

和牛の特徴とは

ほどよくサシの入ったサーロインの断面

和牛(わぎゅう)とは、日本で育てられた特定の牛の品種の総称で、非常に優れた肉質で知られています。
和牛は豊かな脂肪交雑(サシ)が特徴で、柔らかくジューシーで風味豊かな肉質を持ちます。主に「黒毛和種」「短角和種」「日本短角種」「褐毛和種」の4品種があり、それぞれ独自の特徴を持っています。

輸出量は過去最高を記録

ビーフといえば、人気はやはりローストビーフ

近年、日本産牛肉の輸出は順調に拡大しており、高品質な和牛は世界各国で高く評価されています。日本産牛肉の主な輸出先としては、アメリカ、香港、台湾、シンガポールなどが挙げられます。

農畜産業振興機構の令和6年の報告によると、2023年の輸出量は10,113トンで前年比20.1%増加し、過去最高を記録しました。輸出先の内訳を詳しく見てみると、アメリカ(2,139トン、シェア21.1%)、台湾(2,094トン、シェア20.7%)、香港(1,458トン、シェア14.4%)となっています。

これらの国や地域では、日本の和牛が「プレミアムブランド」として定着し、高級レストランやステーキハウスで提供されています。特にアメリカでは、寿司や鉄板焼きレストランの人気の高まりとともに、和牛の需要も拡大しています。

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国内の主要な輸出産地

鉄板焼店の魅力的な調理風景

次に、日本国内における主要な輸出産地について見てみましょう。

国内では鹿児島県や宮崎県が特に輸出量の多い産地として知られています。
まず鹿児島県は黒毛和牛の生産量が全国1位であり、アメリカや香港への輸出実績も豊富です。
宮崎県も「全国和牛能力共進会」(通称「和牛のオリンピック」)で何度も高い評価を受けた産地であり、輸出拡大に積極的に取り組んでいます。
また、兵庫県の但馬牛は神戸ビーフの素牛として知られ、高級和牛ブランドとして海外市場でも評価が高まっています。

🚚 食品物流のプロのひとことメモ

【和牛の「サシ」を守る温度管理】

和牛の魅力である「サシ(脂)」は、融点が非常に低く、わずかな温度上昇でも溶け出して品質が劣化してしまいます。
そのため、海外輸出においては、産地から現地のレストランに届くまでの間、徹底した「コールドチェーン(定温輸送)」の維持が不可欠です。また、国ごとに異なる複雑な検疫手続きや衛生証明書の取得も、スムーズな輸出の鍵となります。

今後も日本産牛肉の市場拡大が期待される一方で、各国の検疫規制や輸送コストの問題が課題となります。なかでも特に生産者や加工業者は、輸出先の国ごとに異なる食品安全基準への対応が求められます。

当社は世界24の国と地域に拠点を構えており、日本産牛肉の主要な輸出先には既に現地法人を設置しています。そのため、日本の産地から輸出先までのコールドチェーンサービスの提供が可能です。ぜひ、お気軽にご相談ください。(T.I.)

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