「日本における食品産業の発展はいつだった?」
昨年2023年、日本の農林水産物の年間輸出額は約1兆3,581億円で、前年比1.6%増加しました。一方、輸入額は約12兆7,890億円で、前年比4.7%減少しています。品目別に見ると、輸出ではアルコール飲料、ホタテ貝、牛肉が上位を占め、輸入ではとうもろこし、たばこ、豚肉がトップ3を占めています。年々輸出入額は増加傾向にあり、2023年の輸出実績は過去最高を更新しました。
さて、日本の食品産業が近代的に発展したのはいつ頃でしょうか。時代をさかのぼると、「肉食禁止令」が天武天皇より675年(天武4年)に発布されて以来、1,200年もの長きにわたって日本には肉食を避ける文化が続いていました。しかし『富国強兵』『殖産興業』のスローガンのもと、1,871年(明治4年)に明治天皇が肉食解禁令を出すと、西洋文化の流入により食文化や農業のあり方が大きく変わることになりました。
当初はすぐに西洋料理が広まったわけではありませんでしたが、西洋料理を日本風にアレンジした「洋食」という新しいジャンルが誕生し、徐々に受け入れられていきました。牛鍋(現代のすき焼き)、コロッケ、肉じゃがなどが代表的な「洋食」です。明治6年には74軒だった牛鍋屋は、4年後には東京だけで558軒に増え、明治時代の小説『安愚楽鍋』(著:仮名垣魯文)にも「牛鍋を食べねば開化不進奴(文明開化が進まない)と書かれており、庶民の間に牛肉食が定着していった様子が伺えます。
また明治20年には日本にマーガリンが輸入され、明治41年には国内での生産が始まりました。アメリカから伝わったケチャップも明治29年から国内製造が開始され、明治時代には工場での大量生産や新しい技術の導入が進み、食品産業が発展しました。
このように西洋の食文化を取り入れつつ、伝統的な日本食文化も大切にすることで、現在のバランスの良い日本の食文化が形成されました。日本食は2013年にユネスコ無形文化遺産に登録され、2023年には海外の日本食レストラン数が約18.7万店に達し、2021年比で約2割増加するなど、世界的な人気を集めています。
世界中で日本食の需要が高まる中、政府は2030年に輸出額5兆円達成を目標に「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」を策定しました。日本の食品産業は今後もさらなる成長が期待されています。
弊社は世界24の国と地域に拠点を持ち、日本への輸入及び日本からの輸出サービスを提供しています。私たちも日本の食文化の発展を支援し続けますので、是非お気軽にご相談ください。(N.Y.)