「乳製品の輸入について」

豊富な乳製品

皆さんの周りにある乳製品ですが、輸入品も多く見かけると思います。
昨年日本に入ってきた飼料用を除く主要乳製品の輸入量は約450万トン(生乳換算)となっており、日本人の生活に欠かせないアイテムであると言えるかと思います。
そんな乳製品の輸入までの通関プロセスをご存じでしょうか。

乳製品を輸入するには、通関前にまず動物検疫食品検疫をクリアしなければなりません。

輸入通関における「3つのハードル」

ハードル 1:動物検疫

対象品目の拡大と指定場所での検査

動物検疫に関しては、家畜伝染病予防法施行規則の一部改正(平成28年10月31日付け)に伴い、2017年11月からこれまで動物検疫の対象であった生乳に加え、クリーム、ホエイ、バター、チーズ等の品物も動物検疫の対象に加わることとなりました。

検査は原則として動物検疫所が指定する場所に商材が蔵置された状態で行われる必要があり、その指定場所は主に空港、港、そして港湾倉庫です。
また、輸入国が定める内容を網羅した検疫証明書を輸出国側で取得しておく必要があります。

ハードル 2:食品検疫

成分規格の検査と工程確認

無事に動物検疫が合格となると次は食品検疫となります。
乳製品と一言に言っても、乳製品と呼称して良いものは実は決まっており、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」で定める成分規格に合致したもののみ乳製品と呼ぶことができます。

例えばホエイパウダーを輸入する場合、成分規格に合致しているかを確認するために検査が必要です。(検査結果を得るまでにおおむね7~10営業日かかります)
食品検疫ではこの成分規格に合致しているかどうかの検査指導をはじめ、検査結果と商品の製造工程や使われている原材料の一覧表の内容が精査され、食品検疫合格となります。

アイスクリームなどの乳製品

ハードル 3:関税・機構売買

国内産業保護とEPAの活用

乳製品の通関においては農畜産業振興機構との機構売買を経てから通関となりますが、国内産業保護のために高額な関税が課されています。(関税割当を使用して通関をするか、農畜産業振興機構が管轄する入札に参加する場合はその限りではありません)

💡 ポイント:EPA(経済連携協定)
昨今はEPAの適用により軽減税で輸入ができるケースもございます。

晴れて通関許可となり皆様のお手元に品物が届くまでに、実は多くのハードルを越えて来ていることがご理解いただけたかと思います。

ピザとチーズ

当社は乳製品をはじめとする食品関係のエキスパートとして、皆様の輸出入をサポート致します。また、EPA適用による減税のお問い合わせもお気軽にお申し付けください。
商品代金はゼロ円にはなりませんが、関税は限りなくゼロに近づけることができます。皆様の「食」が豊かなものとなりますよう、「物流でつなぐ 、世界のおいしさ」を日新がお届けします!(R.T.)

🚚 食品物流のプロのひとことメモ

EPA活用と「正しいHSコード」がコスト削減の鍵です。

記事にもある通り、チーズやバターなどの乳製品は関税率が高く設定されていますが、TPP11や日EU・EPAなどの協定を活用することで、関税を大幅に削減できる可能性があります。
ただし、そのためには製品の成分比率(乳脂肪分など)を正確に把握し、正しい「HSコード(税番)」に分類する高度な専門知識が必要です。
日新の通関士は、複雑な乳製品の分類とEPA原産地規則に精通しており、お客様の適正な納税とコストダウンを支援します。

🧀 国産・海外のチーズ事情についてはこちら

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