「コールドチェーン物流と国際規格を用いた普及について」

2021年の農林水産物・食品の輸出額が1兆2380億円に上り、過去最高を更新した事は御存知でしょうか?
政府は更に輸出額を2025年に2兆円、2030年にはなんと5兆円に引き上げる目標を掲げています。

5兆円分の食品には、温度管理が必要となる冷凍冷蔵食品も多く見込まれ、冷凍冷蔵食品を保冷状態で目的地まで輸送する、つまりコールドチェーン物流がこれまで以上に求められております。

今回はこのコールドチェーン物流と、その普及方法について触れたいと思います。

輸出相手国の中には、冷凍冷蔵貨物の扱いに関する知識が無く、不十分な温度管理下での輸送、積替えがされたり、またインフラ面では電力供給が不安定だったりと、色々なリスクが潜んでいます。

コールドチェーンの未整備は、食品衛生問題にも関わってきます。
食品由来の死亡者は実に年間17.5万にものぼります。また昨今社会問題となっている食料廃棄問題(フードロス)の多くは、流通段階で発生しております。

では、どの仕向け地へも同じ品質で冷凍冷蔵食品を輸送するにはどうすればよいのでしょうか?

コールドチェーン確保の為には国際規格を策定し、保冷輸送サービスの提供業者に適用する事が有効です。
近年では日本提案によりB to Cを対象とした小口保冷サービスの国際規格ISO23412が2020年に発行され、また昨年にはB to B分野を対象としたプロジェクト委員会ISO/TC315が設置されました。
当委員会では保冷貨物の取り扱い、保冷施設の管理、安全管理、衛生管理、要員の教育等を対象としており、現地物流事業者のサービス品質の向上、日本の高品質な物流サービスの国際展開促進が期待されます。

日新も当プロジェクト委員会の一員として、日本式コールドチェーンの普及活動を微力ながら行っており、皆様の美味しい食材を世界各地へ運べるよう努力しております。(H.S.)