「ユネスコ無形文化遺産が陸を走って欧州へ!?」

<写真:シベリア>

シベリアというお菓子をご存知でしょうか?

羊羹(ようかん)をカステラで挟んだお菓子の事でジブリ映画「風立ちぬ」に登場したことで、若い人にも知られるきっかけとなりましたが、昭和初期には「子供達が食べたいお菓子No.1」だった様です。

名前の由来は諸説ありますが、シベリアの永久凍土の断面だとか、カステラの部分を氷原に、羊羹の部分をシベリア鉄道の線路(レール)に見立てたという説もある様です。

<写真:ウラジオストック商業港>

今回のコラムはこの世界一長い鉄道 シベリア鉄道 を使った輸送について触れてみたいと思います。

シベリア鉄道は当然人を運びますが、物も運びます。

少し当社の宣伝となりますが、当社は1965年日系企業として初めて欧州向けにシベリアランドブリッジ(通称SLB)を開通させました。
シベリアランドブリッジとは日本からロシア極東のウラジオストックまで日本海を海上輸送し、ウラジオストックからシベリア鉄道で欧州まで抜けてゆく輸送サービスです。

1980年代のピーク時には年間8万3000tの当輸送の取扱があった様ですが、1991年のソビエト崩壊以降は政局の混乱から運賃の高騰化やコンテナ船の大型化、海上運賃との価格競争などにより欧州向け輸送は鉄道の陸路から船舶の海路へシフトされてゆきました。

21世紀に入るとロシアは経済成長し、鉄道インフラも整いシベリア鉄道の輸送も安定してきました。
日露首脳会談でシベリア鉄道の利活用も合意内容に盛り込まれ、また近年では国交省のパイロット事業でトライアル輸送も行われ再びシベリア鉄道が利用され始めております。

最近特にこの輸送サービスが注目されている背景としては次の様な理由があります。

① 今年3月に発生したのスエズ運河座礁により、海上一辺倒だった欧州向け貨物輸送のBCP(事業継続)対策。
② コロナ禍の巣籠もり需要による空コンテナ不足&スペース不足による海上運賃の高騰で、高いと言われ続けていたシベリア鉄道を使った欧州向け輸送運賃と欧州向け海上運賃が同等程度になっている事。
③ 6月頭にトヨタ自動車がCO2排出量を前年比3%減らす様部品会社に要請したことも記憶に新しいのですが、鉄道は船舶に比べてCO2排出量が4割〜5割も少ない事から脱炭素の観点からも再注目されています。

食品輸送で使われるリーファーコンテナも国交省で今後ブロックトレイン(1編成借上げ列車)での輸送検証も予定されており、ユネスコ無形文化遺産に登録されている和食の、シベリア鉄道を使った欧州向け輸送が大いに期待されます。

冒頭 お菓子のシベリアも日本からシベリア鉄道を使って運び、欧州の人たちにも是非食べてもらいたいですね!

当輸送サービスのお問い合わせは下欄より、是非ご連絡お待ちしております。(H.S.)