食品輸入の落とし穴。「税関検査」と「検疫」の違いとは?通関ストップを防ぐ自主検査の活用法
食品を輸入する際、最も恐ろしいトラブルの一つが「港での貨物ストップ」です。
「書類は完璧なはずなのに、なぜ許可が下りないのか?」「税関は通ったはずなのに、まだ動かせないのか?」
こうしたトラブルの多くは、輸入における「2つの関門」の役割と順序の理解不足から生じます。
それが、財務省が管轄する「税関」と、厚生労働省が管轄する「検疫所」の関係です。
今回は、経験の浅い輸入担当者様が陥りやすいこの2つの検査の違いと、リスクを回避するための「自主検査」の活用法について解説します。
1. 「検疫」が先、「税関」は後。絶対のルール
輸入通関の話をしていると「税関検査(Zeikan)」という言葉ですべてを括ってしまいがちですが、食品輸入においては明確な「順序」が存在します。
関税法第70条(他法令の証明)により、食品衛生法(検疫)の手続きが完了したことを税関に証明しなければ、税関は輸入許可を出せない決まりになっているのです。
① 税関(財務省)
- 法律:関税法
- 目的:関税の徴収、テロ対策、密輸阻止。
- 視点:「モノとしての輸入許可」
- 関係性:検疫が終わるまで許可は出せない。
② 検疫所(厚生労働省)
- 法律:食品衛生法
- 目的:食の安全確保(添加物、残留農薬等)。
- 視点:「食品としての国内流通許可」
- 関係性:ここが通らないと全てがストップする。
つまり、「税関はOKだったが、検疫が通らない」という状態は、輸入許可の段階ではあり得ません。
検疫所(厚労省)への「食品等輸入届出書」が受理され、「済」の印をもらって初めて、税関の許可審査の土俵に乗ることができるのです。
2. 恐ろしい「検査命令」と「モニタリング検査」
検疫所での手続き中、貨物が止められるパターンにはいくつか種類があります。
特に注意が必要なのが「検査命令」です。
| 検査の種類 | 内容とリスク |
|---|---|
| モニタリング検査 |
国が統計的に行う抜き打ち検査。 ※原則として、結果を待たずに通関手続き・流通が可能。(ただし後日違反が見つかれば回収命令) |
| 検査命令 |
違反の可能性が高い食品に対して発動される強制検査。 費用は輸入者負担。合格するまで輸入許可は絶対に下りない(留め置き)。 |
「検査命令」の対象になると、検査結果が出るまでの数週間、貨物は保税地域(倉庫)で待機となります。
当然、その間は税関の許可も下りないため、貨物を動かすことはできません。
最悪の場合、不合格となり「廃棄」または「積み戻し(返送)」という莫大な損失が発生します。
3. 「自主検査」という最強の防衛策
では、こうしたトラブルを未然に防ぐにはどうすればよいのでしょうか。
プロが行う対策、それが「自主検査(指導検査)」の活用です。
🛡️ 輸入前の「自主検査」とは?
貨物が日本に到着する前に、サンプルを日本の登録検査機関で検査し、成績書を取得しておく方法です。
(※または、初回輸入時に通関を止めずに自ら進んで行う検査のこと)
【自主検査のメリット】
- 事前に「日本基準で合格か」が分かるため、廃棄リスクを回避できる。
- 本番の輸入時に検査成績書を添付することで、検疫所での審査がスムーズになる。
- 継続的な輸入の場合、次回以降の検査が免除される項目がある。
検査をクリアしても、輸送中の水濡れや破損があっては販売できません。デバンニング時の品質チェックについてはこちら。
> 日新の“出番”|輸入食品の検品とトラブル対策
「コストがかかるから」と検査を渋った結果、本番で検査命令に引っかかり、何倍もの損害を出すケースは少なくありません。
食品輸入においては、「急がば回れ(検査せよ)」が鉄則なのです。
その食品、本当に輸入できますか?
「成分表(Ingredients List)」さえあれば、事前に規制のチェックが可能です。日新は通関士と食品専門チームが連携し、事前の成分確認から検査機関の手配までを一貫サポートします。
現場のスタッフが執筆しています
当サイトのコラムは、日新の現役社員(通関士・輸送手配担当・営業担当など)が、日々の業務で培った経験をもとに自ら執筆しています。
文章のプロではありませんが、「物流のプロ」として、現場のリアルな空気感や専門知識を、等身大の言葉でお伝えできれば幸いです。
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