「つけ麵のすすめ」

今年も残り2カ月となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回のコラムでは、つけ麺についてお話します。 著者自身、つけ麺に初めて出会った際、ラーメンとは異なり、麺とスープを分けて食べるという斬新な食べ方に心惹かれたことを覚えています。
そんなつけ麺は、いつどこで生まれたのでしょうか?その歴史を紐解いてみましょう。

つけ麺は、1950年代に東京・東池袋の「大勝軒」で誕生したとされています。創業者の山岸一雄氏が、賄い料理として考案したのが始まりです。
通常のラーメンを食べやすくするため、麺とスープを別々に分けて提供したことがきっかけでした。
麺を冷水で締めることでコシが増し、熱々の濃厚スープにつけて食べるスタイルが好評を博し、瞬く間に人気メニューへと成長しました。

ラーメンと比べて麺が太めに作られることで、モチモチとした強いコシと小麦の豊かな香りをダイレクトに楽しめることも、変わらず愛される魅力なのでしょう。
従来のラーメンとは異なる新しい食文化を切り開いた革新的な一杯として知られています。

誕生から数十年が経ち、つけ麺は全国のラーメン文化に大きな影響を与えてきました。 1970〜80年代には「大勝軒」の系譜を継ぐ弟子たちが各地に店舗を展開し、その知名度を拡大しました。
2000年代には濃厚魚介豚骨つけ麺がブームとなり、専門店が次々と誕生。人気チェーンから個人店まで、多彩なスタイルが展開されることで、地域ごとの独自進化も進み、現在に至ります。

また海外にも進出し、ニューヨークやパリなど世界の都市で「TSUKEMEN」として親しまれています。
単なる日本のラーメン文化の一部にとどまらず、グローバルな食のスタイルへと発展した点こそ、つけ麺の大きな特徴です。

現在は全国につけ麺専門店が存在し、ラーメンの一大ジャンルとして確立されています。
つけ麺の楽しみ方として、麺を食べ終わった後にお店から提供される「スープ割り」でつけ汁を割って飲むスタイルがあります。濃厚なつけ汁がまろやかなスープに変わり、最後まで美味しくいただけます。

スープは濃厚魚介豚骨を中心にしながらも、あっさり系や辛味系など幅広いスタイルが共存し、世代や嗜好を問わず楽しまれています。
さらに近年は健康志向の高まりから、低糖質麺やベジタブルスープを用いた新しい試みも進んでいます。
未来に向けては、海外市場でのさらなる拡大や、冷凍商品の普及により、家庭でも気軽に本格的なつけ麺を楽しめる時代が到来しています。
普段つけ麺をあまり食べないという方も、この機会に是非食べてみてはいかがでしょうか。(Y.I.)